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Lee-Byung-hun addicted

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第7話

『釜山で愛を抱きしめて』 第7話

2006/10/13/22:30
海雲台パラダイスホテルのバー、Charlie's。
Cine21 と、青年フィルムが共同主催した、踊りと歌があるコンサートパーティの会場。
大勢の招待客や関係者で会場はごった返していた。
「何だか凄い熱気ですね。」美弥が嬉しそうに言った。
無理やりつれてきて良かった。揺はほっと胸を撫で下ろす。もしジウン監督とのお見合いが上手くいかなくても彼女が楽しんで帰ってくれればそれでいい。今の揺はそう思っていた。後は神様が決めてくれる。私と彼がそうだったように・・。そういえばここに彼がいるんだった。彼のことを思っただけで自然と顔がほころぶ揺だった。
「揺さん、何ニヤニヤしてるんですか」美弥が笑いながら言った。
「いや、別に。じゃ、入ろうか」
会場に入るとまもなく様々なイベントが始まった。
スクリーン上映などが始まってしまうとなかなか中で移動が出来ない。
それでもパーティーを楽しみながら合間合間に少しずつ移動し、連れ立って奥に入っていく二人。
やっとのことで一番奥まで行き着くとそこに目的の二人はいた。
「あ・・やっと来たよ」ジウン監督が二人を見つけてつぶやいた。
「揺・・・お前さぁ・・何でいつも俺に内緒で来るんだよ」真っ赤な顔ですっかり出来上がりかけたビョンホンは揺を見るなり開口一番そう吠えた。
「ちょっと・・ビョンホンssi。ここは公衆の面前だから・・ね。後でゆっくり聞くからさ。」
揺は小さな声で慌てて彼をなだめると彼の後ろにそっと隠れた。
撮影のカメラを気遣ってのこと。ビョンホンもそんな彼女の行動にすぐに気がついた。
そして携帯電話を取り出す。
「トイレに落としたんだって。ドジだなぁ。番号・・・変わらなかったんだ」
彼は笑いながらすぐ後ろのついたての陰にいる揺に電話をかけた。
「うん。そのままにした。・・・・ごめんね。」
「何が?」
「いろいろ」
「うん。わかってる。今夜は?」
「このホテルに泊まる。貴方もここ?」
「ああ。じゃあとで会えるね。」
「うん。あとでね」

すぐ後ろにいるのに電話で話す二人を見つめる二人。
「面白い・・・」「ああ・・おもしろいですよ。」
二人は顔を見合わせて笑った。

「ごめんね・・・美弥ちゃん。一人にしちゃって」
部屋に帰ってきた揺はいそいそと身支度を整えながらそうつぶやいた。
「気にしないでください。それよりこんなスウィートルーム一人で使わせてもらって申し訳なくて・・」
「いいのいいの。気にしないで。じゃ、明日の朝。困ったことがあったら遠慮なく電話してね。」
揺はそういい残すと自分の部屋を後にした。
そして足早に彼の部屋に向かう。

にこやかにドアベルを押すとビョンホンがドアを開けた。
倒れこむように彼に抱きつく揺。自分から彼の唇を求める。
ドアを背に熱く口づけをする二人。ふと揺は耳慣れない音に気がつく。
いびきだ。
慌てて彼から離れると「誰かいるの?」と小声で訊ねた。
「チャールズが寝てる」とビョンホンがつぶやく。
「なんで」と揺。
「だって・・・お前が来てくれるって思ってなかったし。一人だと寂しかったから」
「え~~~~っ。」揺は頭を抱えた。
「私、スウィートルームとっていたの捨ててきたのに」
「えっ?」
「そう。あのふたりで泊まった部屋だいぶ前に予約しておいたの。私にしては珍しくこだわってみたのに・・」
「揺・・」ビョンホンはうなだれている揺をぎゅっと抱きしめた。
「しょうがないな・・頼んでみるか」
ビョンホンは携帯を取り出した。
「あ、もしもし、監督ですか。お願いがあるんですけど部屋変わってもらえませんか?
え?だめ?客が来る?ちょっとあれ、女の人?え、日本語でなんか言ってる、もしもし・・」
「あ・・きれちゃった・・・もしかしたらジウン監督の部屋に今夜紹介してくれた彼女いるんじゃないかな」
「まさか・・だってあの人たち言葉通じないし・・・」
「言葉だけが共通言語っていうわけじゃないだろ。ボディーランゲージだって立派な共通言語だ・・・」
「え~~~っ。まさか・・・」二人は顔を見合わせた。
揺はビョンホンと自分の部屋に戻った。確かに部屋には誰もいない

「また監督のところに電話するわけにもいかないわよね・・どうしようか」
揺はベッドに座って揺れながらそうつぶやいた。
「もういいよ。ほおっておけば。皆大人なんだから。」
ビョンホンはそういうと揺を抱きしめ彼女の首筋にそっとキスをした。
「そんなこと言ったって彼女帰ってきたらどうするのよ」
「ストッパーかけてきたし・・なるようにしかならないよ。皆が気持ちよく寝てるのに俺たちだけ悶々としてるなんてバカらしい。」
そういいながらもう彼は揺のシャツのボタンに手をかけていた。
「まあ、確かにね・・・考えて・・いても・・・仕方が・・ない・・」
彼に抱かれたら理性なんてどこかに飛んでいってしまう・・揺にはそれがよくわかっていた。そしてもう揺の理性はそこにはなかった。
彼の愛を受け入れながら揺は待ち望んでいた幸福感に浸っていた。

「そうだ・・そういえばさっきの続き」
「え?何?」と揺。
「あとでゆっくり聞くからって言ったろ。どうして君はいつも僕に黙って来るの?
会う人会う人に『揺ちゃんに会った?』って聞かれる身にもなれよ」
ビョンホンは揺の髪をいじりながら笑って言った。
「だって・・・」と揺。
「邪魔したくないんだもん・・・だろ?」ビョンホンは茶化すように言った。
「わかってるなら聞かないでよ」揺はちょっとふてくされて言う。
「わかってるけど聞きたいんだよ。この口から」
ビョンホンはそういうと揺の上に覆いかぶさり熱く深いキスをする
「たまには『私のために時間を空けて』って言ってみたら。この口で」
ビョンホンはキスをしながら意地悪くそういった。
『明日の夜・・私のために時間・・空けてくれますか』
揺は彼に愛されながら途切れ途切れの声でそう言った。
「・・・・・明日の夜・・僕はフランス政府から勲章をもらうんだ。専属の通訳として君を一日だけ雇うことにするよ。それでいいかい?」
「Excellent!」
揺はにっこり笑ってそういうとビョンホンにギュッとしがみついた。


次の日の朝、二人がルームサービスで朝食を取っていると美弥が戻ってきた。
美弥はビョンホンに会釈をすると揺を見てニヤッと笑った。
「揺さん、うそつきですね。本物じゃないですか」
「まあ・・私のことはどうでもいいわよ。それより、ごめんね・・。美弥ちゃん。夕べ・・大丈夫だった?」テレながら恐る恐る揺が訊ねた。
「え、楽しかったですよ。あの後監督とレンタル屋さんに行ってDVDいっぱい借りてきてああでもないこうでもない言いながら朝までずっと批評大会でした。」
「だって言葉が・・」と不思議そうに揺が訊ねる。
「言葉なんて要りませんよ。ここはこう。とか何となく身振りでわかったりするし。」
「そう・・・そういうものかもね。」
彼女のあまりの説得力のある言葉に揺はただ感心して頷いていた。
「あ・・でも揺さん、どうしても明日仕事入っちゃったのですごく楽しいんですけど今日帰りますね。」
「あ、そう。じゃ送って・・・」
「大丈夫です。ジウン監督が暇だから送ってくれるって。観光案内もしてくれるっていうし・・だから今日は揺さんダーリンと楽しく過ごしてください。」
「いやだ、ダーリンなんて」照れている揺と意味がわからずきょとんとしているビョンホンを置いて美弥はさっさと部屋を後にした。

「何?どうなってるの?」とビョンホン。
「ん?意外に監督したたかなの?」と揺。
「ん?」
「あ、そっかぁ・・今回の計画あなたに詳しく話してなかったっけ・・実は・・」

「お前・・・計画ずさんすぎるよ」
ソファーの肘掛に腰掛けてエスプレッソを手に呆れたようにビョンホンが言った。
「だって・・・ゾクゾクする遺伝子って貴方と監督しか思いつかなくって。」
「は?」
「貴方はダメだから監督にしたのよ。ちょうど釜山に来るタイミングだったしこれは縁だと閃いたっていうかさぁ・・」
「全く・・・凄い短絡的な発想だな。まあ、ひらめくところはお前らしいっていえばお前らしいけど。」ビョンホンは笑いながら揺の頭をクシャクシャと撫でた。
「まあ、後は縁だな。何だか今回は俺絡んでなくてつまんないなぁ・・」
「え~。充分絡んでるじゃない。そもそも貴方がソル・ギョングssiに負けるから・・」
「負けてなんかいないよ・・」ビョンホンがふてくされたように言う。
「そうだ・・負けてなんかいないわよ。そうじゃなくて・・・こうさ。もっといっぱいいっぱい映画に出てみたら?あ~~それも何だか違うわね。つまりいいのよ。あなたは好きなようにして。」
「お前・・何言ってるの?」
「よくわかんない・・・でも、全部の縁はあなたに絡んでるから。貴方は皆にとってとっても大事な人なのよ。」
「全く・・・もうどうしてこんなに可愛いのかな」
ビョンホンはそういうと揺をギュっと抱きしめるとソファーにそっと押し倒した。
「ちょっとこんな朝から・・・」戸惑う揺に
「朝から?」ビョンホンはキスの雨を降らせながらそう問い返す。
「朝から・・・・健康的すぎるわ。あ・・・私もゾクゾクする遺伝子もらっちゃおうかしら」揺はそういうとクスッと笑い彼の胸に顔を埋めた。


その日の昼、揺は約束どおりオモニと食事を共にして釜山の観光地を回った。
ビョンホンはマスメディアへの対応や映画関係者との顔合わせに余念がなかった。
そして・・・・二人は夜を迎えた。



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